№17 要約筆記者養成講習会修了式と関東ブロック研修会

 【今迄の修了式とは違ったこと】

2月2日(木)4月から84時間の講習を受けてこられた受講生(手書きコース10名、パソコンコース10名)の皆さんが全員揃って修了式を迎えることが出来ました。講師、スタッフ一同、一先ずはホッとしています。

今年の修了式では横浜市障害自立支援課係長の工藤様が忙しい業務の合間を縫って全要研が公開している過去の統一試験問題を分析した資料を作成し配布して、出題傾向や試験問題を解いていくポイントなどを解説して下さいました。

昨年の統一試験後の関係者が集まった会議(横浜市、情報提供施設、浜筆協講師、浜難聴で構成)の席で「来年の修了式での講義時間では試験に役立つ話をしましょう」と工藤係長が発言されたのです。今年の修了式で、あの会議で発言されたことをまさに有言実行をして下さったのだと気がつきました。

前職は予備校の講師をされていたとのこと、配布された資料と解説を聞いて、あ~!これは昔取った杵柄が活かされていると感じました。今年の受講生の皆さんは、修了式の場で思ってもみなかった講義を受けられ本当にラッキーです。

最大の山場である全国要約筆記者認定統一試験が2月19日(日)に実施されます。試験にはフォローアップ受講生も加わるので手書きコース15名、パソコンコース12名が受験。昨年度の合格率は手書き29%、パソコン27%でした。今年も非常に厳しい試験であろうと予想されますが、一人でも多く私達難聴者のために活躍して下さる要約筆記者として誕生することを願って止みません。


【関東ブロック研修会の感想】

2月4日(土)埼玉の浦和、別所沼会館で開催されきました。コロナ禍、昨年までオンライン形式での開催でしたが、今年は対面形式で行われたので関東ブロックの友人、知人に会うことができました。お会いした方、皆さんが口々に「須山さんはお元気~?」と私に聞いてこられたので「元気!横浜の会長さんで頑張っていますよ」と手話で答えしましたが、その昔、全難聴女性部長として全国の難聴女性を束ねていたので須山会長を知らない人はいないのだと改めて納得をしました。

研修会の講師は山口タケシ氏。山口さんは、失聴される前まで30年間、プロのミュージシャンとして活動していた方です。29歳で右耳を失聴、49歳で左耳を失聴したためにミュージシャンとしての道を断念されました。大学時代から音楽一筋で就活の経験はなかったのですが、失聴してから外資系企業に障害者雇用で就職。併せて皆さんご存じの「電話リレーサービス」インフォメーションギャップバスターの理事も務めて普及活動をしてこられました。

山口さんのお話・・・中途失聴難聴者になって数年間も落ち込んだという話を聞くが、自分は3日で立ち直ったと言われた。えっー!ありえない、私は5年もめそめそしていたのに音を職業にしていたミュージシャンなら死ぬほど苦しかったはず???しかし話が進むにつれて、だんだんと山口さんが歩んでこられた道のりが分ってきた。

聞こえなくなった当初は音楽の仕事を失い気晴らしの音楽を聴くことも出来ないし、外に出て人と接するのが苦痛であった。様々な治療法や薬も試されたそうである。16年間、喧嘩すらしたことがなかった奥さんから離婚の申し出があった時、中途失聴難聴者になったのは自分で奥さんには奥さんの人生があると受け入れたと淡々と話されていたが、聞いていて胸が痛んだ。

立ち直るのに数年もかかる人は聞こえていた頃の生活が忘れられない。聞こえていた頃の自分が忘れらずにいる。ろう者でもない、健聴者でもない。立場が曖昧な中途失聴者はなかなか前に進むことが出来ない。「じゃあ、どうしようか」と考える視点が少ないせい。あれこれ考えられる視点が増えていけば先へ進むことが出来るじゃないか。私自身も難聴の障害を自分自身が受け入れた頃から今後を前向きに考えられるようになれたと思い出した。

聞こえなくなった世界の住人になっても「聞くこと」以外は何でもできる。人としての差はない。聞こえないだけじゃないか!周囲の健聴者とはPCや音声認識アプリを使えばOK。手話をマスターして今ではろう者の友人と対等にお喋りができる。普通は1つの人生しか歩めないが、自分は「聞こえる世界」と「聞こえない世界」2つの人生を味わえてラッキーととらえた。これでこそが、自分のアイディンティティではないか!

山口さんは、相田みつをさんの有名な言葉「幸せは自分の心が決める」これを日々、座右の銘にしているそうです。前向きに今の人生を生きている山口さんのお話を伺って「元気のお裾分け」を頂いた気分になりました。

(写真)研修会開始前、後ろから写メました。参加者は37名。


【事務局長のつぶやき】

研修会の開始前と休憩時間にあちこち移動して懐かしい知った顔ぶれとおしゃべりをしました。お互いに「久しぶり~元気だった?」と手話でお互いの健康を確認し合いその後、あれこれ談笑をしたことが研修会に参加して一番良かったとことかも知れません。👍

研修会の質疑応答で挙手をしたけど時間切れで指名されず、仕方なく終了後に山口さんの所へ行き「中途失聴難聴者の多くが、聴こえを取り戻すために人工内耳に挑戦をしているが、山口さんは人工内耳について考えていないのですか?」と質問をしました。

医学上、何か理由があって人工内耳の手術を受けられなかったのだろうか?と自分勝手に答えを想像していたけど「医師からも奨められたが自分自身がやりたいとは思わなかった」と想像とは全く違う意外な返答があったので唖然としてしまいました。ミュージシャンだったなら私達以上に「音」を取り戻したいと熱望するはずと・・・しかし、考え方は人それぞれなんだと改めて余計な質問をしてしまったと後悔をした次第です。

研修会会場のある中浦和駅まで行くのには最寄り駅の綱島から東横線渋谷駅で下車、JR埼京線に乗り換えをします。数年ぶりに渋谷駅に降り立ったので、おしゃれに変貌をしている渋谷駅構内に暫し呆然としてしまいました。以前の埼京線は端っこの方にあったはずなのに、場所が変わっている・・・すっかりお上りのおばちゃんとなり案内に沿ってウロウロしながら、やっとJR埼京線ホームにたどり着きました。(大汗)💦💦

(写真)研修会前、ランチに入ったお店で配膳ロボットを写メ。注文した雲吞麺を私のテーブルまで運搬してくれました。前方にはお顔があります。


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